日本のキャッシュレス普及率が低い理由が災害が多いからなのか考えてみた

2月13日の夜間に発生した福島県沖を震源とするマグニチュード7.1の地震。

私が住む栃木県は内陸とはいえ福島県の隣県なので、非常に強い揺れを感じて3.11を思い起こさずにはすみませんでした。

その翌日、日本でキャッシュレス決済が普及しないのは災害が多いせいだという内容のツイートがあり、多くの賛同を得たといいます。

確かに一見納得できそうな意見です。でも冷静に考えてみれば理屈としてはおかしいことがわかります。

災害の多さを理由にキャッシュレス決済を選ばない人はいない

そもそも当該ツイートは単に大きい地震があったところから思いついただけのもので、それほど深く考えられたものではないと思います。

そもそも、災害時に備えて現金を持っておくことと、平時にキャッシュレス決済を利用することはまったく関係がないことです。

では、現金派の人がキャッシュレス決済を利用しない本当の理由はなんでしょうか?

リサーチデータ(2020年)キャッシュレス決済に関する調査|楽天インサイト
キャッシュレス決済に関する調査のご案内。自主的に実施しました様々な国内調査を定期的に発信しています。(旧楽天リサーチ)

このグラフは楽天グループの調査会社「楽天インサイト」調べによるものです。

1位:現金を使い慣れているから
2位:現金だとお金の管理がしやすいから
3位:現金以外の決済手段だとお金を使いすぎてしまうから

だいたい他の調査と似たような理由が上位になっています。

もちろんこれは設問が用意されているアンケートにチェックを入れるものなので、完全に本当の理由を反映しているとは言えません。

ただ、設問以外の「その他」を選んだ人はわずか1%。その1%の中に災害に備えるためという人はどれだけいるでしょうか?

日常の決済手段の選択を非常時を基準にする人はまずいないんです。

非常時に現金は役に立つか?

2011年3月11日当時、私が住んでいた地域は地震や津波による倒壊などの被害はなかったものの、大規模かつ長時間の停電にみまわれました。

幸い職場から歩いて帰れる場所に住んでいたため帰宅難民にならずに済んだものの、真っ暗な街の中を歩くのは不安でした。

もし今こういう状況になったら、スマホ決済もクレジットカードもプリペイド式の電子マネーも役に立ちません。

確かに災害時に役に立つ決済手段は現金のみです。

しかし、現金も万全とは言えません。

例えば終戦後にはハイパーインフレが起こり、多額の貯金も二束三文となりました。

もっと言えば、何らかの原因–例えば中国の侵略など–によって日本円を保証する日本政府が機能しなくなった時、現金をもっていても金銭としての意味をなくします。

もちろんハイパーインフレが起こったり、日本円が価値をなくすようなことがあればキャッシュレス決済にも使えないわけですが、現金を持っている意味もなくなります。

現状で災害に備えるという意味で最も有効な資産は金です。

例えが極端すぎますか?わざとです。

キャッシュレス決済が普及しないのは災害が多いからだという極端な理屈にぶつけるには極端な例えがわかりやすい。

災害が多いからキャッシュレス決済を選ばないというのは理屈としておかいことがわかると思います。

現金を持っていることとキャッシュレス決済は矛盾しない

キャッシュレス決済はあくまで平時の便利な決済手段です。

平時の移動に電車に乗ると便利だから利用するというのと同じです。日本は災害が多い国だから、災害に備えてふだんから電車に乗らないという人はいないでしょう。

キャッシュレス決済は支払いがスムーズで、特に小銭なんかじゃらじゃら持ち歩く必要がなく、ポイントがたまるから使うというだけの話。

それと、不意の停電などに備えて現金を持っておくというのは何ら矛盾しません。

日本は「不確実性回避指数」が非常に高い国です。これは、いかに不確実なことを避けようとする国民性なのかを表す指数で、日本は92。世界の中でも上位に入ります。

不確実性回避指数が高いというのは、言い換えれば確実ではないことから極力逃げようとするということ。

仮面ライダーや戦隊、ウルトラマン以外の特撮作品がなかなか出てこないのは、確実な知名度があるこれらの作品以外に金を出そうとするスポンサーがいないからです。

上述の調査の通り、キャッシュレス決済を使わない最も多い理由は現金に慣れているから。

要するに、積極的に現金を選んでいるのではなく、自分が慣れていない方法からは逃げたいというだけの理由です。

こういう層は確固たる信念があって現金しか使わないのではないので、周りにキャッシュレス決済を利用する人が増えれば流されて使うようになります。

携帯電話と同じですね。比較的不確実性を回避しようとする意識が低い若年層から広まり、今では高齢者でもスマホを持つようになっています。

まず若年層にキャッシュレス決済が広まれば、おのずから高齢者も使うようになるはずです。

タイトルとURLをコピーしました